臥床患者の洗髪における頭部の振動に関する基礎的研究 ○ 大澤千恵子1),森田真史2) 臥床患者の洗髪における看護師の手の動きによる振動に関して「気持ちよく感じる振動」とは、どういうことなのかを明らかにするための前段階の実験として、頭部の共振の実験を行った。調髪練習用ヒト頭部模型に鉛の小片を約4.86kg充填し、試料とした。加振台に設置した頭部模型に水平方向に振幅9mmの強制振動を加え、レーザー方式変位測定器IWATU ITU−205を用い、頭部後面につけた反射板の変位を測定した。測定は、(1)頭部を片手で支えたもの、(2)頭部を支えないもの、の2条件で行った。その結果、頭部に振動を与えた場合、支えがない場合は、9〜11Hzで振幅が大きかった。また、同条件で片手で頭部を支えた場合は、8〜12Hzで振幅が大きかった。支えがない場合は、振幅は23Hzから2mm以下になった。頭部を支えた場合は、14Hzから急激に振幅が小さくなり、その後、増減しながら40Hzで2mm以下になった。今回の実験では、除振領域から考えると、20Hz以下で振幅が小さくなるため、頭部はほとんど振動を感じない周波数と考える。しかし、人間の手の動きから考えると、洗髪時の手の動かし方は、頭部の共振周波数を避けた7Hz以下が対象者に振動を感じさせない洗い方だと考える。これは、先行研究1)で実際患者が「気持ちよい」と答えてくれた4〜6Hzを裏付ける値である。また、支えた方が小さいながらも振幅がより大きく生じていた。この実験は、実際のヒトの頭部ではないので、さらに検討を加える必要がある。 参考文献1)大澤千恵子他:洗髪における看護師の手の動作が患者の心身に及ぼす影響、日本看護技術学会第2回学術集会講演収録集、86、2003 |